さて。現在来年1月公演に向けて、準備と稽古の真っ只中におります。 ようやっと恒例のDMとご挨拶文を発送させていただきました。 ご挨拶文をこちらにも掲載いたします。
公演の企画・実現に向かって奔走をはじめる「事の起こり」はだいたいいつも不思議な巡り合わせでやっくるもの。 演出の目黒陽介さんと今回、チームを組むことになった直接の契機は、
昨年の9月頃、偶然、フランスのサーカス公演の観劇の帰り道が一緒になったことでした。 (カミーユ・ポワテル氏の作品の客上げで、大勢の観客に混ざって黒づくめの男性がひとり、ひときわ美しい軌道を描いて舞台にボールを投げ入れていました。 「あれっ、目黒さんだ。」) 私はカミーユ氏の作品を好きで、一緒にゆきませんかと友人知人を3人ほど誘ったのだけど悉く予定が合わない、と断られてしまって、その日一人で客席に座っていました。 おそらく誰かと連れ立っていたら、帰り道にこのジャグラー/演出家と話し込むこともなく、 したがって世間話の中で、 「目黒さんが他分野のものの技芸の芸人さんの演出をした作品がみてみたいと思うんですよね。」「うーん、じゃあ、演出しますよ。」「えぇっ。(目黒陽介が人形の演出を?!)」 ‥と言う話の運びにはならなかったでしょう。 何気ない偶然の連打の、奇妙な夜でした。 お酒も入ってのうっかり発言?を言質に、 「来年、公演を企画したいと思っているのですが‥。演出をお願いできませんか。」と改めてご連絡したのは、人生初の単身渡航ツアーから帰国しひと段落し2019年度の予定に頭を巡らせ始めた2018年の11月頃。 「ふむ‥。人形劇はやったことはないけど、演出することに興味はあります。」 とのお返事。 公演実現の可能性を探る模索が始まりました。 具現化する方法を探す上でTOKAS の公募に出願したら幸運にも!ご採択をいただき、トーキョーアーツアンドスペースOPEN SITE 2019-20 パフォーマンス部門という形で公演実現の運びとなりました。
目黒陽介さんのジャグリングを初めて拝見した時の、投げられたボールの生き生きした様子、ボールが意思を持ち、嬉々として投げた人の手元に帰ってゆくように見えたのは、あれはなんだったんだろう。 人形劇をみて、「この遣い手は人形を好きなのだな」と感じることはたくさんあるのだけど、「この遣い手は人形に好かれているな、」と思うことはほとんど経験したことはなかった。 何が違うのだろう???? ジャグリングと人形遣いは何が違うの? 疑問符を抱えて稽古が始まり、稽古場で起こるさまざな出来事に、 「あらあらそんな、まさか‥、そ、そうやったんか!!」 驚愕しつつ、謎は‥丁寧に解かれ、と思ったらまた次の謎がずるずると導き出され。 (スピリチュアルなことを論理的に解明するのがもの遣いの仕事‥だそうです、) 人形‥人の形をしたもの‥とは一体なんなのか?
ものが生きるってどういうことなのか?
文化人類学的な位置付けや人間の精神との関わりの特殊性からも様々な見地が展開されますが、人形をあくまでひとつの「もの」として捉え、他のすべての形態の「物体」と公平に扱い、ただし、その道具の特質・本質を丁寧に読み取る‥稀有な才能を惜しみなく振るうジャグラー/演出家の眼差しと掌によって、人形は存在を一旦分解され、稽古場でふたたび形を取り戻し、なんともきもちよさそうに歩いております。 (なんてことだ!!)
人生の多くの時間を、黙々と「もの」に向かい、たいていの形状の「もの」に応用できる遣いの技術・論理・詩情を構築してきたジャグラー目黒さんの類まれな技芸と才覚に驚き畏敬の念を抱くとともに、 分野分けするとどこからもよそものに分類されてしまう「人形」に、この「ものをあつかう」のスペシャリストが非常に誠実に向き合ってくださる機会に感謝しつつ、 さて、人形遣い側の‥(あれ、なんだか感嘆符の連続で忘れがちだったけれど、前線に人形と立つのはわたしじゃないか…。)
長井はどこまでやれるのか‥?! 稽古場でもがいております。
おそらく、たいへん原初的な、、人形をつくり、遣い始めた人たちが人形劇に見出したさまざまな喜びと興奮に通じる、複雑化して素朴な存在理由を見失いがちない現代人形劇の…、その手前に戻る、シンプルな回答に繋がることを試みているのではないか、と感じています。
人形たちの顔貌がだんだんしっかりとしてきました。 どのような混沌の中にあっても、その背中を追いかけて、ともに生きる方法を探すのが人形遣いなのでしょう…たぶん。
「人の形、物を語る。」
とてもシンプルで、ユニークな公演になると思います。 人形劇ファンの方も、そうでない方も、人間や動くものに興味のある方は楽しんでいただけるものになるのではないでしょうか。 ぜひ、目撃していただけましたら幸いです。 ご予約は、TOKASの予約フォームか、出演者に直接でも承ります‼️ 御茶ノ水で、お待ちしております🙇♂️❣️
TOKASの詳細ご予約特設ページ⇒ https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2020/20200117-6965.html